いわて花巻“科楽”お祭り広場をおこなって

プレイベントをやろう!!

 5月19日(日)花巻市文化会館で、夏の全国大会の宣伝もかねて、「実験の楽しさ」を子どもにも大人にも先生方にも体験してもらおうとプレイベントを企画しました。
 花巻市ほか近隣市町村教育委員会の後援をいただけたので、花巻市内の小・中学校には、1クラス3枚のパンフレットを、教育委員会から各学校に配布していただきました。
 一般公開に先だって、午前中には各出展者から出展内容の紹介が行われました。25ブースの出展者が、一人5分ずつ10時から12時まで行いました。一般公開が始まると、出展者は身動きできなくなり、ほかの展示を見たくても見ることができずに、終わってしまうことに配慮した企画でしたが、出展者がどんな点を工夫しているのか、どうしてこの実験に興味をもつようになったのかを知ることができてとても好評でした。

※ 高木先生の雷実験に先生たちもビックリ! 静電気とエネルギーを感じようコーナー

村上さん(新潟)は、「石がわかるたのしさ」を話してくれました。

※ こんなにきれいでしょ!!「石がわかるたのしさ」コーナー
 「私地学大嫌いでした。石の名前がわかったってしょうがないし、つまんない。それを生徒に強いることに罪悪感すら覚えていました。それが、新潟に行ったら石って結構面白いじゃない。糸魚川のラベンダービーチで石拾いしていると学生が寄ってきて、『先生これもらっていい?』って聞くんです。『ああいいよ』って答えるんだけど、『これ素敵でしょ』、種類なんかわからなくたって、きれいだとかなんかいいなと思ってもらえば、それだけでいいと思っています。
 ラベンダービーチでこれだけの種類の石が拾えるんです。波に洗われて、とてもきれいなんです。美しいな、面白いなと思ってもらえるだけで良いと思っています」と新潟のとても美しい石を見せてくれました。

お困りリクエストコーナーも

 顕微鏡で小さい生物を観察しようのコーナーは、小学校の先生から、いまだに顕微鏡の使い方がよくわからないので、顕微鏡のコーナーをつくってほしいというお困りリクエストがあり、やることになりました。いざやってみると大人気のコーナーとなりました。

※ ボルボックスやミジンコなど小さな生物がいっぱい 手軽に観察できる方法を教えてくれました!! 「顕微鏡で小さな生物を観察しよう」コーナー

いよいよ一般公開!!

 入場者には、大人用、子ども用、教員用のワッペンを貼っていただき、なくなったワッペンの数で入場者数をカウントしました。その結果大人75名、子ども67名、教員15名で入場者数は157名でした。出展者31名、実験のお手伝いをしてくれた大学生3名、高校生2名、中学生5名を加えると41名です。受付係2名と記録係2名を加えると合計は202名になり、目標達成できました。

■たくさんのワクワクで いっぱいの「花巻市文化会館中ホール」
 岩手では多くの学校が運動会を終えた5月19日、宮沢賢治の花巻農学校跡地に立つ「花巻市文化会館中ホール」は、お客さんでいっぱいでした。開場時間前にお見えになる家族もいらっしゃり、楽しみにしていただけ、とにかくうれしかったです。
 見たい!触りたい!やりたい!ホールにあふれるそんな気持ちに応えようと、25の出展者の皆さんも汗だくになっていました。


■迫力の実験  新しい技術体験も!
 会場入ってすぐ、「静電気とエネルギーを感じよう」のコーナーでは、岩手大学の学生さんが10万ボルトの迫力ある実験に、大人も子どもも釘付けになっていました。

※ すごい! ほんとに雷だ!! 「静電気とエネルギーを感じよう」コーナー


※ 大学生もお出迎え 頭に風船いっぱいつけてるよ

■小学生
 雷の実験が面白かった。煙が一気に晴れるのがすごかった。雷はただ怖いだけだ、ひとを怖がらせるだけだと思っていた
が、そういう役割があると言うことに驚きました。
 この日が来るのを、指折り待ちしていました。実験が大好きです。学校の理科クラブの先生がチラシをくれたのがきっか
けです。裏を読むとたくさん実験が載っているので、とても楽しみなりました。今日はいろいろな実験ができて楽しかった
です。今度はもっと実験があるというので楽しみにしています。

■VR体験コーナー
 青森の相馬さんは、VRを理科の授業に活用してみたい、どんな方法があるかを模索中で、まず体験してみることが大事ではないかと話していました。

 その配布されたパンフレットを見つけたパトリックさんは、自分自身で陸前高田の景色をドローンで撮影し、VR体験できる自作映像を紹介したいと飛び入り参加してくれました。パトリックさんの映像には、行列ができて大人気でした。

※ ALTとして働きながらVRを研究しているパトリックさん。飛入参加。

 「私は大学でITを学んできたので、テクノロジーが大好き。英語助手の仕事をしながら、自分でもVR の勉強を続けているし、今日のPCなどの装置も自分で組み立てた。それから、陸前高田だけでなく、姫神山や大迫などの景色をコンテンツとしてためるているし、これからも増やしていくつもりだ。今日は学校に来たチラシを読み、ぜひ1自分も参加したいとメールをしました。今日は、VRをやってみたい子どもたちに紹介できてよかった。私はVRを生かして岩手の素晴らしい景色を大勢の人に見せたいと思っている。」

■満員でも中高生の応援で大成功!
 のびのびスライムやはずむシャボン玉のコーナーは予想通り小学生たちでいっぱいに!でも、中高生の皆さんが助手として活躍してくださったおかげで、大成功へ。薬品の準備調合や予備実験や事前練習までやってきてくれたそうです。

※ 量が大切です なるほど 「のびのびスライムをつくろう」

《感想から》たくさんの人が来てたいへんだったし、適量にするなど小学生に教えるのに苦労をした。でもたくさん教える経験をしてよかった。小学生が成功すると自分もうれしくなった。小さい子にすごいなど言われて、反応をもらえることが楽しかった。  (中学生)

■まわってみると、おもしろいこと 大発見!
 力作ぞろいの25のコーナー。回り始めると新しい体験が待っています。この経験が、きっと次の興味につながることでしょう。


※ さわれるけど、さわれない! どうして? 「虫めがねでできる実像をつかんじゃえ!」コーナー

《感想から》ありがとうございました!!
 こういうイベントがあることを初めて知りました。先生方が楽しそうに説明している姿がある意味面白かったです。理科好きは、みんな同じ気持ちだなあと思い、私も楽しませていただきました。理屈ではなく、実験の結果を直接体験して、自ら「なぜだろう」と感じることができるこのようなイベントはとても素晴らしいと思います。先生に学生さんがいたのもよかったです。ぜひ継続していただけたらいいなと思います。ありがとうございました。(新聞記事を見て参加しました)

※ こっ、これって生きてるの?! 「粘菌を見てみよう」コーナー

感想文を書いていただきました

入場料が無料ってスゴイ!! 神山颯馬(9歳)
 いろいろな楽しい遊び物がたくさんありました。楽しいおもちゃなどたくさんもらいました。たくさんの物を見ました。遊びました。作りました。たくさんのふしぎな物を見ました。たくさんの色々なもので遊んだりしました。たとえば、1円玉が、電流でふきとんだり、かみなりを静電気でつくりました。風船をもらったりしました。今日はふしぎな物を見ました。楽しい物で遊びました。またこんな楽しい体験ができるならば、またこんなふしぎな楽しいけいけんを何回もしたいです。今日こんなに楽しいけいけんができて、ぼくは今とてもまんぞくしています。こんなけいけんはめったにできないと思います。ただし、家でできる物も少しはあると思います。家でしゃぼん玉をつくったり、ブーメランをつくったり、スライムをつくったり、家で作れる物がたくさんあります。でもここにある物はほとんど家では作れないかもしれません。ここで何万年何億年前もの時代の化石が見れたりして、ぼくは今日たくさんの昔にあった化石生き物にあいました。こんなにすごい物にあえるのに入場りょうがむりょうなんてとてもいい所だと思いました。また来たいです。(学校でパンフレットを見て来ました。)
理科の実験は子どもの心をかきたてる(匿名)
 活気ある会場でした。来場者がいかに身近な自然を活用した実験に興味をもっているのかを示していたと思います。
 私は現在特別支援学級を担当しています。子どもたちをひきつけて夢中になってやり続ける姿がみられる教材を捜していました。そんな時に、学校に配布されたパンフレットを見て、子どもたちがすてきな出会いのできる教材を求めてまいりました。期待を上まわる教材に出会うことができました。また来場した児童や生徒たちが生き生きと実験に取り組む姿を見て、理科の実験がこどもの心をかきたてることを実感しました。残念ながら学校は多忙を極めています。私が所属する学校は生徒指導上の問題を抱えています。(特別教室に鍵をかけます。)だからこそ、理科の活用と探究の領域に位置づけられる今回の「“科楽”お祭り広場」の実験は、あの子ども達に伝えてみたいと思わせる素晴らしい教材だったと思います。

イベントを終えて

 ある年配の方は、「このような先生たちに授業してもらっていたらもっと理科が楽しかったのに」と話していました。その方は、「みなさん 楽しそうにやっているね」とも言われました。理科が好きな人の集まりということを感じ取られたのでしょう。
 科学教育研究協議会の研究会に参加して、私はいつも同じことを感じます。授業の実践発表でも、実験紹介でも発表する先生が実に楽しそうなのです。自分の工夫がどこなのか、それに対して生徒たちの理解の仕方はどうなのか、以前教えていた時よりも、生徒たちがよく理解してくれたよと、少しずつ少しずつ授業のやり方が進化していきます。この自分自身が少しずつ変わっていくことを感じとるから楽しくなるのだと思います。そんな楽しそうな表情を満ちるだけで、楽しくなってしまうのです。
 実験の場合は、子どもの驚きが目の前に現れるので、これはやめられません。この楽しさを求めて、遠くは広島、北は北海道から集まっていただきました。楽しくなければ、はるばる来ませんよね。実験紹介した方も、実験を体験された方もみんなが笑顔になり、みんなが元気になりました。
 8月には、全国から60人以上の実験名人が集まります。若葉小学校体育館いっぱいに繰り広げられる実験ショーがとても楽しみになりました。
 みなさんありがとうございました。

(記録 佐竹良隆 高橋匡之)