会則・設立趣旨

科学教育研究協議会 会則/設立趣旨

科学教育研究協議会 会則

1.この会は,科学教育研究協議会という。

2.この会は,設立趣旨に基づき,正しい理科教育の確立・発展に努めることを目的とする。

3.この会は,2条の目的を達成するために研究発表会,共同研究,調査,会誌の発行,講演会,講座の開設,他の研究団体との協力,その他必要な活動を行う。

4.この会は,理科教育に関心を持ち,設立趣旨と会則に賛成して,所定の会費を納める者を会員とする。

5.会員は,研究会その他の活動に加わり,会誌紙の配布を受け,総会での決議権を持つ。

6.この会の最高議決機関は総会である。総会は委員長が招集し,年1回開かれる。 ただし,必要に応じて臨時の総会を開くことができる。

7.委員長,副委員長は委員の互選で選ばれる。委員長はこの会を代表する。副委員長は委員長を補佐し,委員長事故あるときはこれを代行する。

8.この会は,会員の直接無記名投票によって選ばれた20名の委員よりなる委員会をおく。委員の任期は2年とし,その選出方法は別に定める。

9.委員会は,会の重要な問題を討議し,会の事務運営にあたる。

10.委員会に事務局,編集部,常任委員をおき,委員会の業務を行う。それぞれの責任者は委員の互選により,部員は委員会が委嘱する。

11.委員会は年1回以上全国代表者会議を開き,会の運営その他についての意見を聞かなければならない。全国代表者会議は,支部とブロックの代表者で構成する。

12.この会に会計監査2名をおく。会計監査の任期は2年とし,その選出方法は別に定める。

13.この会は,第2条の目的を達成するために,顧問ならびに評議員をおくことができる。その選出方法は別に定める。

14.会員の希望に応じて支部を設けることができる。またいくつかの支部が集まってブロック協議会を設けることができる。

15.この会の経費は,会費,事業収入,寄付金その他でまかなう。

16.会費は、年4000円とする。ただし、学生は半額とする。

17.この会則の変更は,総会の決議を必要とする。

※(5条)会誌紙は『科教協ニュース』  ※(10条)編集部は『理科教室』(本の泉社)を編集する。

※最近改正 2016年8月9日 科教協総会・静岡にて 16条 会費 学生は半額に

※2023年10月 現在の事務局所在地 〒174-0042 東京都板橋区東坂下2-4-15 TK ビル1F 株式会社メトロポリタンプレス内 科学教育研究協議会事務局

設立趣旨

 現在わが国では,子供たち,生徒たちに対して,どこまで本当の教育が行われているでしょうか。広範囲にわたる教育の中で,重要な位置を占めている理科教育においても,私たちはこの点で大きな不安を抱いています。次の次代を担う国民である児童・生徒たちとその両親たちの,信頼と熱望に,私たちはどこまでこたえているか,ビキニの問題がひきおこした大きな衝撃に対して,私たち教師は,正しい科学的解明を教育の場においてなし得たでしょうか。

 教師の生活条件も,理科教育のための設備,資材もきわめて悪い今日,このような反省も,いざ実行となると限度へ来ているという声もあるでしょう。けれども眼を広く外にむければ,あまりにも非合理,非科学的なことが国民に強要されることが多すぎはしないでしょうか。 科学の名において健康,生命にもかかわる非科学的なことが国民に強要される事例が後を絶たないのではないでしょうか。

 このような状態のもとで,教育に求められるのは,きびしい科学的・合理的精神と,祖国・人類への熱い愛情とを,次代を担う児童・生徒の心の中にすくすくと発展させることでありましょう。もちろん,科学的・合理的な精神を培うことは,決して理科教育だけが果たし得る物ではありませんが,理科教育がこのために大きな役割を演ずることは確実です。

 では,現在の理科教育はどうでしょうか。そこでは生徒の自主性と,生活との密接な結合とが尊重され,多くの教師はその実現に努力しつつあります。私たちはこの原則を旧教育にくらべて大きな進歩と考えます。しかし,それにもかかわらず,この原則が正しく実践されているか,科学的・合理的な精神,事実の表面にとどまらず本質を追求する資質を培うことが実現されているか,この点について私たちは大きな疑問を抱いています。

 このような時代に,本当の理科教育をどうすれば行うことができるのか。こうした意欲から,最近教師たちの間に多くの理科教育の研究会がつくられつつあります。それらの方針は決して一定したものではなく,おおよそ次の4つの行き方があるようです。

 1.現行のやり方で何とか努力を重ねること。

 2.戦前のやり方にもどること。

 3.諸外国からよい手本をさがして,そのとおりやってみること。

 4.日本の現実に足をふまえ,われわれの手で新しい理科教育を創造すること。

 このいずれの立場をとるにせよ,日本の将来を心配し,子供たちに正しい理科教育を授けたいという熱意をもっていさえすれば,すべての教師が話しあえるはずです。

 このような考えから,私たちは,科学教育研究協議会を設立することになりました。

 私たちは話し合いの会を開き,また遠く離れているものの間では通信によって広く現場の実践に学び,あるいは戦前・戦後の日本の教育や諸外国の教育の長所を取り入れることと共に,広く民主的な国民教育運動と手をとりあって,日本の現状から一歩進めるよい理科教育を築き上げたいとねがっています。このようにして得られた成果や各サークルの仕事を機関誌紙に発表することによって会員・諸研究会の交流・向上をはかりたいと思います。

 国民が何の心配もなく豊かな生活をいとなめることをねがうすべての教師,父兄,さらに理科教育に関心を持たれる専門家・学生・研究者などが広くこの会に参加されることを心から希望いたします。

1954年11月28日

科学教育研究協議会設立総会