本の泉社の社長・比留川 洋氏を偲ぶ

本の泉社の社長・比留川 洋氏を偲ぶ

 科学教育研究協議会委員会・佐久間 徹(副委員長)

 発行継続の危機にあった『理科教室』を快く引き受けてくださった比留川さんが急逝されました。

 2016年4月号からの出版社が決まらない時期に、出版社を紹介して戴くつもりで、民教連関係誌の発行経験豊かな本の泉社を訪ねました。

 様々な状況を話していくと、「その条件ならうちで出せますよ」との即決でした。

 比留川さんは、『理科教室』を発行当初から支えて戴いた新生出版の故村山社長ともお知り合いだったようで、何だかホッとしたことを思い出します。

 ただ、本の泉社発行の月刊誌『理科教室』となってからは、専属のプロ編集者にお願いする余裕はないため、DTP以外の編集実務の多くを私が分担することになりました。ミスだらけで、赤ペンで真っ赤になった校正束を見ても、成長の遅さを辛抱強く待ってくださったように思います。

 そればかりか、新企画を次々に提案して戴きました。巻頭と巻末頁の一部カラー化。AR対応画像の導入。『理科教室』誌掲載原稿を元にした授業参考資料の企画発行。また、読者からの単行本用原稿募集と発行や、新学習指導要領の分析検討のための単行本を出す企画も即決で了承して戴き、実現することができました。『理科教室』掲載の記事をベースにした出版物は、実に10年ぶりのことです。

 まだまだ企画中の出版物もあり、相談に乗って戴こうと思っておりました。

 インフルエンザから肺炎を患われたとのことで、1月下旬から療養のため約1ヶ月間、入院しておられました。退院して仕事に復帰されたばかりでしたが、容態が急変して2月24日に急逝されました。

 ちょっとした相談にも、じっくりと耳を傾けて戴き、適切で素早い判断、決裁をして戴きました。機関紙誌発行で、民間教育の研究活動を支えて戴くと同時に、各地の埋もれそうな研究や運動の成果を出版物として世に顕し続け支えて続けてくださった方だと思います。

 心よりお礼と感謝を申しあげます。ありがとうございました。